1日おきの血液透析が始まりました。
透析用の針は通常のものに比べ大変太く、採血などに使う針の太さと比べると倍以上あります。具体的には採血用は大体0.8㎜程、対して透析用は1.6㎜以上のものが使用されます。
そのまま穿刺されると、この上なく痛い!!
ですので、透析に入る1時間ほど前に穿刺する部分に麻酔フィルムを貼り、痛みを軽減させます。
それでも痛い・・・
入院中の透析は2日に一度、3時間行いました。
透析機材
血液透析によって、普通は腎臓が除去する老廃物(尿素窒素、クレアチニン、尿酸、カリウム、リン)などを強制的に除去します。
また、腎臓で排出されない尿(水分)も除水します。
血液透析の肝はダイアライザーというろ過機です。直径5㎝、長さ20㎝ほどの透明の筒です。
筒の中身は浸透膜でできた細い管の集合体です。
体の大きさによって筒の大きさも違うようです。
左のイラストがダイアライザー、右が血液を循環する装置です。ちなみに1回の透析で120リットル以上の水を血液ろ過のために使っています。
透析時間
透析が始まります。
透析している間は針が刺さっている腕は動かせません。動かすと赤ランプが点滅して装置が一時的に停止することがあります。
最初はこの時間が非常に苦痛でした。針が刺さっている場所の痛みはこの時点ではあまり感じません。
慣れてくるとなんとなくウトウトとしてしまいますし、寝てしまうことも多くなります。
透析用のベットは病院にもよりますが、私が透析導入した病院は30床ほどでした。医師が数名と後は全員女性の看護師さんでした。
一斉に開始されるので、順番に注射針を打たれた人の透析が開始されます。この開始順が時々30分近く待たされることがあるのでイライラすることがあります。早く始まればそれだけ早く終わりますからね。
あとは3時間たてば、太い針を抜いて止血して終了です。
疲れ果てたという感じで、へとへとで病室に戻ります。暫く何もしたくないほどの脱力感が襲ってきます。
この治療が命がなくなる日まで、毎週3回行います。
飲み水と栄養管理
透析患者は一般に体重が減少していきます。
体重増加は命にかかわります。体重を減少させ維持しなければ、水が体内にたまり体が浮腫み、透析では追いつかない状態になります。
透析患者はそれでなくてもリスクが高いので、食事、水、体重管理は重要です。
わかっちぃるけど、でもつらい・・・
透析患者の食事制限と飲水量が結構きついからです。私の場合は当時体重が73Kgでした。
医師から指示された1日の摂取量は次のようなものでした。
- エネルギー 1,600kcal
- タンパク質 60g
- 食塩 6g
- カリウム 1,500mg
- リン 900mg
- 飲水量 800cc
この中で一番きつかったのが飲水の量を厳しく制限されたことでした。
透析患者は腎臓が機能しないので、徐々にオシッコがでなくなっていきます。1年も透析を続けると殆どでなくなります。
尿が出ないということは、飲んだ水はそのまま体重増加の要因となり体内に蓄積されますます。
それを透析装置で強制的に除水するのです。
透析開始時、必ず体重測定をされますが、体重の3%までの増加なら合格と言えるでしょう。
私の場合約2.2リットルが理想でした。除水量が多ければそれだけ体の負担がまし、透析時間も長くなります。苦痛ですよこれは。
透析は日曜日は殆どの病院が透析を行っていないので、透析日が2日空きますが、その時の体重増加は5%未満が理想です。
入院中の体重管理は看護師さんが毎日計測しているので、隠れておやつを食べたり、水を飲まなければそれほど体重が増えることはありませんが、退院してからが問題です。
では入院中の唯一の楽しみと言えば食事ですが、透析食は実に味気ないのもでした。
味的には薄味で、しっとりしたおかずがありません。また、味噌汁は塩分と水分が多いものですから一度も出ませんでした。
しかし、人間の舌は薄味にはいつしか慣れてしまいます。ほかにやることもないので、だんだんそんな食事でも楽しみになってきました。
しかし、水は我慢が必要でした。800ccのペットボトルがあったので、それで毎日をしのぎました。
その後、この水摂取との悪戦苦闘が始まりました。
透析患者への色々な助成制度
透析患者は身体障害者1級の扱いになり、障碍者手帳が市町村長から発給されます。
身体障碍者1級の各種制度は次のようなものがあります。
市町村によって異なる内容もあるので役所で必ず確認をしてください。
まず、障害者年金が支給されます。年間約100万円支給されます。
ただし、支給要件がありますので、日本年金機構のホームページで確認してください。
その他にも以下のような助成があります。
- 交通費助成:タクシーチケットやガソリンチケットの支給
- 有料道路割引:50%割引 (障碍者本人が運転または介助者が運転の場合)
- NHK受信料減免:障碍者の世帯全員が住民税非課税の場合免除/本人が世帯主の場合は半額免除
- 医療助成:医療費の1割負担(ただし透析費用は所得により定額負担)
- 自動車税免除:障碍者が利用または生計を一にする者が、もっぱら障碍者の利用のために使用する自動車の自動車税・自動車取得税・軽自動車税が免除されます
- 特別障碍者控除:年末調整・確定申告で税の控除が受けられます
- 航空券割引:ほとんどの航空会社が身体障碍者割引のチケットを販売しています 介助者(同乗者1名までOK(ただし、早割などからすると安くない事の方が多いです)
- JR運賃割引:本人及び介助者1名のみ 100kmを超える乗車運賃が50%割引(特急券・指定券などは除外)
- 携帯電話料金の割引:各電話会社で異なりますので要確認
- 公共交通機関の割引:バス、地下鉄、路面電車など(各市町村によって異なります)
- 美術館、博物j館、遊園地、動物園、体育館、映画館etcの料金割引または免除
など - 運転免許の取得助成
- 運転免許の取得助成などもあります。
入院した月に、必ず自立支援制度(更生医療)と年金事務所での手続きを行いましょう。(病院で教えてくれます。)
入院中は精神的にも大変つらいことですが、必ず透析が始まるまでの期間に一時外出許可をもらい、役所で手続きを行いましょう。医療費が変わってきます。
入院中は時間だけはあるの、色々考えたり、調べたりしてみませんか。