沈黙の臓器の悲鳴

エピローグ

いまわたしの体には、腎臓が3つあります。
実際に機能しているのは1つだけですが。毎日の生活には困りません。

普通の働き盛りの人であれば多少具合が悪いくらいでは、忙しさもありなかなか病院へは足が向かないのではないでしょうか?
具合が悪い人には「病院で診てもらったら」って言いますが、悪い結果だったらと怖くてなかなか行けない方も多いのではないでしょうか。私の場合は最悪の結果が待ち受けていました。

腎臓や肝臓は本当に悪くならないと悲鳴を上げてくれないと言われてます。
私が医師に診察してもらったときは、「こんな状態でよく立っていられましたね」でした。
また、「こんなになるまでよくほっておいたね」とも・・・即日入院でした。診断結果は慢性腎不全のっステージ5でした。病名は「高血圧性腎性」

目の前が真っ暗になりました。仕事のこと、家族のこと、お金のこと・・・
仕事は客先などに連絡して何とか処理。家族には今後のことをとりあえず相談して何とかその場をおさめ、入院準備をして病院へ送ってもらいました。

病気の進行と症状

進行に伴い症状が重篤化していきます。私の場合は自覚症状として下記の順で発症し始めました。

  • 皮膚の痒みに悩まされる
  • 頻繁に足がつる
  • 網膜の毛細血管が腫れて脆くなり、物が見えにくい・昼間非常にまぶしく感じる
  • 直ぐ息が上がる
  • 体全体が浮腫んでくる
  • 心臓に水がたまり、息苦しくなる

検査と入院

具合が悪くなり、我慢も限界になり病院へ行きました。

最初、目が見え難くなって受診したので、総合病院の眼科へ行きました。
しかし、直ぐに内科に回されました。網膜の状態も悪かったのですが、眼科医は原因が目ではないとすぐに思ったのだと思います。
血液検査の結果、クレアチニン(腎臓のろ過機の基準を判断する検査項目)が10㎜/dを超えていました。正常値は0.65~1.09ですから、ほぼ臓器としての機能は喪失しているとのことでした。

ちなみに腎臓の機能は大まかには、①血中の老廃物の排出②血圧の制御があります。
機能が失われれば、体は浮腫み、毒素がたまって、ほおっておけば死が待っています。

このような状態でしたので、即入院となり血液透析の準備がはじまちました。
部屋は6人部屋でした。
透析室の看護師が今後の予定などを話しに病室に来ましたが、あまり覚えていません。
ただ一つだけ思っていたのは、それまでの間本当に体がきつくかったので、「入院下からは、これ以上悪くなることはない・・・」
そう思っていました。

入院前に不安だった仕事のことなどは、この時点では諦めがついていました。
勿論それなりの手当はしましたが、入院の準備で帰宅した1日だけでは出来ることは限られます。
ここに至ってはい方がない。しかし2,3日なかなか眠れない日々が続きました。

シャント手術が行われて1週間ほど指示さて他内容(毎日の尿量測定や投薬など)を毎日こなすだけでした。
初めて体にメスを入れるのは怖かったですが、その後数年にわたっての行われる手術に比べれば、今考えると大したものではありませんでした。

【シャント手術】
血液透析では通常利き腕ではないほうの静脈に太い注射針を刺すのですが、静脈は血流の圧力が小さいので動脈と結合させ血流を増やさなければなりません。
通常は手首にある動脈とそのそばを通っている静脈を縫合し血流を増やします。これをシャント手術と言います。
手術時間は15~20分ほど。